おうちの話・土地は実際に見てみないと


思わず買いそうになった土地がある。
位置的にいうと東京駅までは約一時間半、その最寄駅までは徒歩8分ほどの土地。広くは無いが、狭くも無い35坪ほどで、1680万円くらいだっただろうか。(無駄にリアルな数字を出してみた)
海が近くて始発駅、お城や温泉が近いといいね、あと平坦なところもいいね。という要望をいちおうクリアしているところだったし、値段も手頃だったので、個人的には乗り気だった。実際に行ってみるとなんで安いんだかわかるもんですね。その土地(7区画くらいある)のお隣にお寺があって、お墓があるんですよ。少し高台なものだから、見上げるようにしてお墓が見える。「あーだから安いのかー、でもまぁ背に腹は変えられないし、いいんじゃないの。」とその時は思ったが、妻は反対。「墓が見える土地なんて嫌だ」の一点張りである。何か家族で病気や不幸が起こったときに土地のせいだとなるかもしれない、というのはわからなくもないが、1日のほとんどを家で過ごす専業主婦なので、玄関を出たら墓、窓を開けたら墓というのは気分の悪いことなのかもしれない。
いや、これはお墓を悪くいうものではない。だがしかし住宅地の喧騒の中に墓があるほうがどうかしているのだ。ひっそりと静かなところにお墓なんてあるべきであって、人間のエゴのために墓の隣にまで開発の手が及ぶほうがどうかしている。
そういえば、かつて住んでいた実家(いまは取り壊されてマンションが建ってる)の近くの小山の上に忠霊塔というものがあって、それは戦没者の為の供養塔だったのだが、家から思いっきり見えていて、夕暮れ時などは何か異様な気配すらあった。
子供だから無邪気なもので、よく肝試しに行ったものだ。街灯なんてないから、あたりは真っ暗だ。そんな中、塔が青白くそびえたっている…恐ろしい。
そんな過去を思い出し、結局のところその土地はお流れとしたのでした。
半年ほど経って、当の土地がどうなっているのかなと確認して見たけれど、まるで売れてなかった(笑)