グリーンツーリズムという名の自然破壊

九州に居た頃に、どうして行かなかったのだろうと思っていたのが世界遺産屋久島で行くのは大変だろうけど、いつか行きたいね、という話を妻としていた。
それで、ついこの間、何かの観光番組を見てて、屋久島に行っている映像が流れていて、その番組の内容は、屋久島の自然を映すというより、むしろ観光客の増加によって屋久島の自然が失われつつある、といった現状にも配慮した内容だった。
世界遺産ブーム」
世界中にちらばる世界遺産に行くと、日本人の団体客に出くわすという。恥ずかしながら私は海外に一回(個人旅行でスペインに。ていうか新婚旅行。)しか行ったことが無く、偉そうなことは言えないのだが、人の塊があると確かに必ずといっていいほど日本人だった。
それ自体が悪いというわけではないけれど、なんだか稲を食い荒らすイナゴのようで多少不快な気持ちになったりもした。
本質的にはマナーが悪いのは個人だろうが団体だろうが一緒だろう。懸念されるべきはいわゆる集団心理というものくらいか。やはり、他国の観光産業を潤す一方で、迷惑をかけていることもあるに違いないと思う。
翻って国内だが、先の番組中では、屋久島の、いや世界の貴重な財産である屋久杉が何者かの手によって傷つけられている、あるいはゴミを捨てているなど酷い有様が映し出されていた。
休日はおろか平日でさえ、人、人、人でごったがえす現状。
意外だった。まさかあれほど渋滞を起こしているとは。
何がグリーンツーリズムか。ただの心無い環境破壊である。自然というものは、人が立ち入っただけで破壊に繋がる。たとえそういう気がなくても知らぬ間に自然は傷ついている。我々が日常的に見ているような人工的に造られた森は、まだいいがだが、原生林は一度破壊されたら二度と戻っては来ない。後ろ向きな考えかもしれないが、やはり、足を踏み入れないことが最低限の自然保護。日本は一応、観光立国を目指しているわけだし、観光=利益追求となって、観光資源が潰されていくようなことがあれば本末転倒だと思う。
屋久島を見てみたいなどとのん気なことを言っていた己を恥じ、一生、行かないことに心に決めたのであった。