2011年度の太陽光発電普及は非住宅での普及が鍵になる

長らく太陽光パネルの最先端国であった日本。でも2005年あたりに設置量でドイツに抜き去られた。それ以来もどんどん水をあけられてしまっているが、一昨年から日本でもドイツに倣って電力の買い取り制度が開始された。
もっとも、ドイツでは全量買い取り…つまり太陽光で発電しただけすべて買い取ってもらえる。日本の買い取り制度は余剰電力に対してなので、極端な話、買電量と発電量が一致していれば、プラスマイナスゼロだ。
いくら普及させるためとはいえドイツの事例は半ば狂気に近いような気もして、現地でも実は効果に対して非効率なのではないかという指摘すらある。恩恵としては太陽光パネルの製造業者、設置業者は恩恵にあずかっている。特に大量生産で低コスト化していくのは世界にとって望ましいことだと思われる。
さて、日本では前述したとおり、一昨年あたりから始まっている制度というから政権交代前になり、基本骨子は自民党が決めたものだ。実のところ、民主党はドイツ式の全量買い取り制度を主張していたのだが、最近は鳴りを潜めている感もある。震災復興財源の問題もあるが、原発から太陽光への大号令でも無い限り、全量買い取り制度に踏み切ることは無いように思われる。
経済産業省、4月から適用の太陽光発電の余剰電力買い取り価格は住宅用が1kWh42円(nikkei bp)
2010年度までは余剰電力に対して、48円/1kWhであった。2009年度→2010年度の際にも見直されるか注目されたが、2010年度は据え置かれた。そして今回は6円下がった水準となった。
これについては、太陽光発電設備の普及により設置コストの低価格化が進み、投資回収としての売電は安く済むので、徐々に下げていくことが元々名言されている。
本当に設置コストは下がったのだろうか。製造メーカーの新型パネルはたしかに軒並み効率が上がった。年間5〜10%くらいで今後も上昇していくものと思われる。ちゃんと見積もりをとっていないから比較は出来ないが、定価ベースで見ていくと、初期投資として設置コスト自体はさほど変わらないものの設置面積あたりの発電能力は上がっている、というのが実情ではないだろうか。つまりは電力会社に売れる余剰電力が増えやすくなったということだ。
もちろん2年間のスパンで考えなくてはならないが、それで48円→42円なのかと考えると微妙だなといった感じ。それに、これから設置しようと思っている人には残念なことに国からの太陽光発電補助金が2011年度から大幅に引き下げられる。
平成23年度の住宅用太陽光発電向け補助金について(J-PEC)
補助金額は、2010年度の7万円/kWから4.8万円/kW。たとえば、4kwのパネルを屋根に設置していたら、2010年度までは28万円の補助が受けられたのに対して、19.2万円。3分の2くらいとなる計算だ。
しかも太陽光発電は国からだけでなく、県から、市町村からと別々に出るところがある。ちなみに、我が家の場合は22年度については県からはなくて、市からの補助金はあった。23年度はどちらからも無い予定。
そう考えると初期投資は高くなってしまい、買い取り価格も低くなって回収するまでには多くの期間を要することになるのではないかと思う。一般家庭用の発電設備設置については残念な感じとなった。
一方、前述の記事にあるように非住宅用と10kW以上の住宅用は1kWh40円となり、2010年度の24円からやたらと大幅に増額する。ちなみに、非住宅とは事務所ビルや病院、店舗などである。
年度更新ではなく契約年度の価格が10年継続する制度なので、2010年度に契約しちゃったとこは哀れとしか言いようがないが、2011年度は非住宅での設置はかなり加速するんではなかろうか。たとえばコンビニや病院の陸屋根にパネルがどんどん乗っかっていくことが予想される。また、10kw以上ということで、マンションの複数オーナーによる設置も増えていきそうだ。
夏冬の計画停電も想定されているので、補完策としてこれに拍車をかけそうな気もする。以前、オール電化からガス共用の回帰あるかで挙げた問題点も太陽光発電では確かにある。ただ、今後は自動切替の需要も増加してくるだろうし、大規模受注であればメーカーも対応していくと思われる。
2011年度の展望としては、やはり小規模な一般家庭用の普及は踊り場となるものの、非住宅での普及が進むという図式だろう。非住宅の場合、そもそも大口顧客となる場合が多いので、設置量が加速していく可能性があり、それこそが普及への鍵となる。