原発から太陽光への大転換はあるか

日本の原発事故を受けて、世界各国で原発推進の見直しが加速している。無理もない、高い技術を持っているとされていた日本でこれだけの事故が起こったからである。諦めに近い判断があって然るべきだろう。
では、国内はどうかというと国内にある50数カ所のうち、震災前から停止していたものを除けば基本的には稼働している。というか東北・関東が電力不足に陥っている状況では、いくら管外とはいえ停止にできない事情がある。停止したくない思惑もある。
中でも静岡県御前崎市にある浜岡原発については、すぐ直下にいくつもの断層があることが専門家に指摘されており、立地からして非常に危ない。近隣住民も「浜岡はやばい」と誰しもが思っている。それでも今日も動いている。
解決策は単純の話、原発に替わる発電所があればいい。しかしそんなものがすぐにあれば苦労はしない。すぐ…という話ではないが、Twitterから知った情報で、何やらドイツで希望の持てるような話があったということだ。
要は、22日にドイツでついに太陽光の発電量(12.1GW)が原子力のそれ(12GW)を超えたのだそうだ。
さすが太陽光発電をゴリ押ししているドイツである。かつては日本が太陽光パネル設置は世界一だったが、ドイツに豪快に抜き去られ、どんどん水をあけられている。
原発に固執したことも、この状況に至っている要因のようにも思う。費用対効果ではたしかに原発というのは良いのだろう。環境面でも火力発電所のように温室ガスを出すこともあまりない。だから、洞爺湖サミットでは環境が叫ばれて原発推進の空気が熟成された。今はもう昔の話になってしまった。

見直すといえば、オール電化である。今回の停電で、オール電化住宅は不便な生活を強いられる。かくいう我が家もオール電化なので、停電中は何もつかない。意外だったのはトイレが流れない、なんてのもある。
これは東電としてミスリード…とまでは行かないが、猛烈にオール電化住宅への転換を推進してきたツケのように思う。
オール電化住宅、普及裏目…原発2基分の消費増(YOMIURI ONLINE)

この3年間で戸数が倍増し、最大で原子力発電プラント2基分にあたる約200万キロ・ワット分の電力消費能力が増えた可能性がある。

管内9都県のオール電化戸数は2002年3月末時点で1万3000戸だったのが、08年3月末に45万6000戸になった。10年末には85万5000戸に倍増した。「

オール電化であればとにかくエコでクリーンでみたいな謳い文句で、太陽光発電エコキュートの組み合わせが「最良」とされていた。建ってしまったものは仕方ないが、今後リスク分散を考えてオール電化はまずいという話になるかもしれない。

リスク分散という意味では、太陽光発電一辺倒という話にも無理がある。ご存じのように夜間はまったく発電が出来ない。特に電力需要が最も大きくなる夕方は、あまり太陽光で発電できる時間帯でもないので、それをしっかりと補える別の発電設備が必要になってくる。火力発電所は消えゆく方向であってほしいとは思う。

上記のような懸念はいくつもあるものの、世界的には当面として日本の失敗とドイツの事例を倣って太陽光発電などのクリーンエネルギーへのニーズが高まっていくものと思われる。
原発に絡む利権の問題もあるが、日本としてどう舵を切るのか。あまり後手後手にまわると抜かされてるのはドイツだけではなくなるかもしれない。