2008年秋の大旅行・みちのくの旅2日目

朝6時起床。休日の朝は早い。
おそらく普段は仕事へのプレッシャーが寝起きを悪くさせているに違いない。嫁と息子はまだ就寝中である。外は雪景色。やることは決まっている。
そう、雪だるまだ。
昨冬、横浜でも雪が降り、嬉々として人生初の雪だるまを作ったものだが、また作らねばなるまい。特に意味は無い。強いて言うなら、そこに雪があるから。
颯爽とペンションの外に繰り出して、素手で雪を丸め始めること5分程度で胴体部分を作る。前回作った時ももそうだったが、なんで太い円柱状になってしまうのだろう…。これが南国人ゆえの不慣れなのか、単純に不器用なのかはわからない。とりあえずもう大きくするのは重すぎて限界なレべルまで作った。続いて、頭の部分。最後に落ちている枝で目と口を作る。
「ゆきぞう」の完成である。

きっとここいらの人々は雪なんて障害物でしかなくて、雪だるまは子供しか作らないのであろうが、私としては子供の頃に出来なかったことを今やっているだけに過ぎない。何しろ、みぞれすら降らない亜熱帯地方で生まれ育ったのだから仕方ない。ほっとけ。
作製した雪だるまを起きぬけの半ば呆れている妻と息子に見せ、朝温泉に浸かり、おいしい朝食を頂いて、ペンション「森りんこ」をチェックアウトした。良い宿だった。
来た道を引き返す格好で、鬼首温泉から鳴子温泉へ。前日が暗かったのでわからなかったけど、オニコウベスキー場がすく近くにあった。
私はスキーをやったことがないのだけど、人生で一番間近にスキー場を見た気がする。
まだ動いていないリフトとか。スキーコースってあんなに急勾配なのか…、転んだら死ぬのでは?と考えていた。
逆にそう思うとムクムクとスキーをやってみたくなった。いつかやってみようと思う。

さて、途中、昨日見逃した鳴子ダム近くに車を停め、鳴子ダムを見物。大渓谷によくもまあ作ったって感じ。でかい。落差は100mくらいあるらしい。その山肌斜面の紅葉はすでに見頃を過ぎているが、ダムの規模が大きく、圧巻であった。

しかし地盤が脆そうで、いつか土砂崩れしそうな場所でもあった。不安げなプレマシー

国道47号線を戻り、東北道・古川ICを南下していく。途中、村田のあたりを散策するという計画もあったのだけど、時間的に厳しいこともあり、計画からは外れた。その代わりといっては何だが、そのさらに南に位置する白石周辺を存分に散策することにした。
白石ICを降りて2kmほど南下し、川を越えると白石市街がある。その中心にあるのが白石城である。始めから終わりまでの歴史は割愛するとして、やはりここは伊達政宗の名補佐役として活躍した片倉小十郎の居城として有名だ。
城郭の形式としては典型的な平山城といった感じで、戦の少なくなった時代に利便性を求めつつ、最低限の防御機能が失っていない造りとなっている。
城の位置は仙台藩における南の最前線というところ。忠実に復元を行なった城であり、特に大櫓の台は野面積みといって自然石をそのまま積み上げて造られた石垣だった。
城内に入ると、小ぶりながら忠実に再現されていて、階段などはやたらと険しい造り。ちゃんとヒノキを使っている。少し調べてみたが、復元に際して、日本ではもはや良質のヒノキが採れないそうで、台湾から伐り出したヒノキを使っているのだとか。その情熱に心打たれる。

城内は戦国ファンの集まりみたいな男性のグループと、海外から来たらしい男女のグループがいた。さすがに海外の方は陽気な感じで、用意されている衣装を身にまとい、ノリノリで記念撮影に明け暮れていた。異文化非コミュニケーションとばかりに傍らでただ眺めていたら、観光ガイドのおじさんが気さくに話しかけてきて、あれよあれよを息子を奪われて、その外国人の群れに混ざることになった。記念にと、写真をば。あとで知ったが、オーストラリアの方々だった。グループのうちのひとりの男性が日本に留学しているようで、友達を誘ったらしい。やけにその友達が女性ばかりなのは気のせいか。

白石城の売店にて、白石名物だという温麺(うーめん、と読む)を食す。妻はなかなか気に入ったようだ。私はというと名物なんぞそっちのけでチャーハンとからあげを食ってた。(そのときに食いたいものを食う主義なので)
しかし、巷では戦国ブームらしいですな。戦国バサラとかいうゲームがあるとかで、とんでもなく美化された戦国武将やらがうんたらかんたらやってるのだとか。その煽りを受けて、戦国バサラグッズが溢れていた。まぁ時代モノが人気を得る為にはそれなりに脚色したりする必要があるのはわかっているが…、それをきっかけにして、もっと入り込んできて欲しいものです。ただ、伊達政宗だって織田信長と同じく、撫で斬り(今で言う大量虐殺)を断行したという負の経歴もある。時代背景ってものがあるから、決して今の物差しを当てはめるわけにはいかないのだけど、良いところしか見ない風潮になるのだけはやめてほしい。本当に願いとしては、ゲームでも人形劇でもいいからそこをきっかけにして、歴史の素晴らしさ、奥深さを広く追求してほしいを思うのである。
白石城周辺を満遍なく回り終えた。模擬まるまるながらなかなか見所があった。近辺も小ぶりながらよく整備されているし、そう高いところに位置しているわけでもないので、歩くにしても苦ではない。実は他にも武家屋敷などあったのだが、ここで夫婦共々とても満足したので、そちらのほうには行かないことに。
白石城から武家屋敷に下る小道が素晴らしい紅葉だった。

歩いている方のおみ足なども素晴らしかった。

あと、鳴子ほど有名じゃないにせよ、白石もこけしの街でした。

さて、今日の宿泊先である、遠刈田(とうがった)温泉方面に向かう。白石市街からは東北道を横切り、北西にむかう。
途中、「ミルクファーム蔵王」という施設があること事前に調べておいたので、立ち寄ってみたりはしたのだが…、到着した時間が遅すぎた(15:30くらい)のか、シーズンではないのか、あまり賑やかではない感じ。一応、ウザギとか犬とかウコッケイとかいる小屋があったので、そこだけ見て、早々に立ち去った。
遠刈田温泉はそこからすぐである。16時くらいに到着。昨日もそれなりにペンション村っぽかったが、ここはさらに密集した感じでペンションが軒を連ねている。
そのひとつのペンション「ホワイトテラス」が今日の宿だ。

オーナーの奥さんかと思われる女性の方がニコニコと笑顔で迎えてくれる。ウエルカムドリンクとしてハーブティ。うまい。
何でも、あとから大勢の客がやってくるとのことで、貸切風呂が混み合うかもということで、到着早々に風呂に入ることになった。ここ、遠刈田温泉は、昨日のアルカリ系とは違って酸性系であるナトリウム硫酸塩泉の湯。源泉が56度ということで、冷ましてはいるだろうが、それでも少々熱めである。ゆっくり長く浸かれるという感じではない。ただ、私のように皮膚が弱い人間にはとても良い泉質だ。
その日の夕食はニジマスやビーフステーキ。文句なしに美味であった。こういうときは出された食事を味わうか、肉料理に合う赤ワインなんかを頼むものだが、瓶ビールなんかを頼んでしまうガサツな自分。申し訳ない。それではあれかなとカクテルをひとつ。アイリッシュコーヒー(ウイスキヰベースのカクテル)。なんとなくそれをハイペースで飲んでしまい、酔いが回り、部屋に戻るとそのまま寝てしまった。2日目は尻切れ気味におしまい。
本当はダイニングとかでくつろぐはずだったんだが…。