原発という迫撃砲が

中国が2003年までに原発100基以上を建設する計画、らしい。物騒な話題が大好きな、というか物騒な話題が当然なくらいの中国だけど、空前絶後の大計画浮上。この原発抑制の時代によくもまあといった感じだ。

とはいえ、深刻なエネルギー不足を抱え、半ばシムシティ初期に起こりがちな感じになっていることだろうし、これからもどんどん成長していく見通ししかもっておられないようなので、原発増設というのは当たり前の選択か。

それにしても100基以上とはまた大胆である。原発大国のフランスでさえ20基程度だし、我が日本だって稼動しているのは同程度だ。ただ、エネルギー依存度というとフランスは8割とかいうすごい数字になるのだけど。伊達に米国以外で唯一、原子力空母を保有しているだけのことはある、原子力大好き国家だ。サルコジもきっと大好き。

で、あーそうですか、すごいですねー、100基だなんて(やれるもんならやってみろ)くらいな感じで考えていたら大間違い。いくつかの例外はあるものの、海辺に建設するのがセオリー。
何故なら二つの点で有利だからである。
・高温になった炉を冷やすために大量の冷却水が要り、海水をすぐに、大量に、無限に使えるから。
・原料のウランを海上輸送に頼った場合に、輸送コストが最小限に抑えられる(陸地だとさらに陸送費用がかかる)

反対に、問題となるのは国防上、国境線近くに原発という一種の巨大爆弾を設置することへのリスクである。この点、海上で国境を接しているのは韓国、日本だから御しやすいと考えるのはやっこさんだろう。

そんなわけで、中国で海辺となると東の沿岸部になるというわけだ。実際に中国で最大規模となる秦山原子力発電所浙江省にある。(揚子江)長江の河口だ。おそらく100基以上となる新設原発のほとんどが沿岸部に建設されることになるだろう。まぁ、ここは百歩譲って、とりあえず喜ぶべきことはある。
昨今、主に中国起因のエネルギー需要で起こっている原油高の抑制だ。逆に、ウラン鉱は需要が高まっていくものと思われる。豪州あたりはウハウハだ。

長期的な話だから実感が沸いてくるというとそうでもないと思うけど、ガソリンの値段が下がってくれるのならば嬉しいことだ。が、しかし、それよりも深刻な事態が待っている。台湾海峡の中国側にはおびただしいほどのミサイル群が台湾に向けられているが、同じように中国沿岸部に原発が乱立することによって、「何か」あった場合に東に位置しているのはさきほども書いたように我が日本がある。中国からのやってくるハタ迷惑な黄砂に加え、最近は光化学スモッグの原因までやってくるが、いずれ、死の灰が大陸から渡ってこないとも限らない。なにせ中国は建国以来いい加減で杜撰なお国柄である。沿岸部は先進的でだいぶマシだとはいえ…日本の原発だって危険じゃないかという話もあるが、これからくるひとつの危機として受け止めておくべきなんじゃなかろうか。

あと、中国といえば来年の北京五輪を控えてるけど…
http://www.melma.com/backnumber_45206/
にわかにボイコット論議が沸き起こってますね。ダルフール問題といえば、サルコジにの前に敗退したロワイヤル氏が大統領になったら北京五輪をボイコットするって示唆してましたっけ。いやはや惜しかったなぁ…。五輪で大量にボイコット国が出たのはアフガン侵攻をやめなかったソ連モスクワ五輪の時以来なので、またそんな事態になったら「やっぱり共産圏はだめだな!」ということになりかねませんが、日本もこういうところでチクチクやれよって思いますな。
縁の下のお金持ちとばかりに、健気にお金だけ払うのもいいですが…。