ってニュースになる前だが16DDHの話

8月23日は、日本にとって、ひいては海上自衛隊にとって記念すべき日となる。戦後最大級の大きさであり、曲がりなりにも「空母」を思わざるをえない通称「16DDH」の進水式が執り行われる。16というのは平成16年度予算で建造されるという意味で、DDHはヘリコプター搭載護衛艦を指す。その進水式IHI横浜工場にて行なわれるが、戦後において雌伏を余儀なくされていた旧海軍関係者や防衛にまつわる方々にとっては空母っぽいものというだけでも感無量なことだろう。威勢のいい産経新聞には「巨大ヘリ空母」と銘打たれてた。
進水式は大変な人出となるようで、報道陣も多数押しかける。軍関係者や政府関係者も訪れるだろうからIHI横浜工場のある新杉田駅は物々しい賑わいになりそうだ。もちろん隣国を刺激するに十分な素材でもあり、国内にも刺激を受けて反応した人々が大挙して抗議の声をあげてくることも予想される。ただでさえ暑い日なのに、余計に暑く…いや熱くなるであろう。
16DDHにかける期待はこれまでどの護衛艦に無かったほどに大きい。何しろ最大でヘリを11機程度搭載することが出来、しかも4機の同時発着が可能となっている。はるな型DDHが20分おきに1機しか発着艦出来ないのとは随分と運用の幅が広がる。この艦に期待することは、対潜哨戒ヘリを搭載しての洋上哨戒任務である。隣国・中国は高度経済成長を背景とした軍備増強に躍起となっているが、とりわけ海軍の増強に励んでおり、原潜を日本近海にも潜ませているのだ。2004年11月には先島諸島宮古島石垣島の間の日本領海を中国の原潜が侵犯したのはまだ記憶に新しいだろう。16DDHはそうした動きに睨みを利かす働きに大いに期待が持てる。
また、地震大国である日本においては災害救助の際に洋上からヘリによる支援を行うことにも活躍してくれるに違いない。大震災のあった神戸にしろ先の新潟にしろ洋上からならば交通が遮断されようとも支援活動を行なうことが容易だ。東海地震、関東地震も差し迫っている中で早く就役してくれることが待ち遠しい。
ハード面は良いとしては後は運用次第となり何かと物議を醸すかもしれないが、とりあえず16DDHが日本の軍事上のポイントになることは間違いない。進水式を経て、のちに引渡し式となり、2009年3月頃就役となる予定である。